クラシックギター講師市川亮平のブログ

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zoom RSS ただ3つの音を

<<   作成日時 : 2016/02/20 00:46   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 4 / トラックバック 0 / コメント 0

先日作った練習曲に早速取り組んでくれている方がいるのですが、
早くも私の作った演奏表現とは違う、その方自身の演奏を弾いてくれました。

下の画像の青く丸のついた3つの音「シ、ラ、シ」ですが、
私は「シラ」で、リタルダンドとデクレッシェンドし、3つ目の「シ」はある程度強く弾きました。
演奏音源
「シラ」で一度旋律の流れを終え、次の「シ」で新しく始まる様な演奏がしたかったからです。
画像



一方、現在この曲に取り組んでくれている方は、始めは同じように弾いてくれていましたが、
何回かこの部分を練習していたら、「シラシ」の3つの音でデクレッシェンドをしました。
この弾き方だと最後の「シ」は前の主題の終わりの音であり、また同じ主題に戻る最初の音にもなります。

そこで、私が2つの弾き方を弾いて、どちらの演奏が好きか聞いたところ、
「シラシ」を繋げるほうが好きだと言うので、そちらの弾き方を追求することにしました。

これがその時の練習音源です。
ここにご紹介するためではなく、単純に後で聞いてみて、
自分の好みの表現を探してもらうために録音しました。

後日、この音源で私がエチュードを作った目的が説明しやすくなると思い、
後でブログへの掲載をお願いしました。

上の音源を2人で聞いて感想を聞くとしっくりこないとの事でしたが、
どうしたらそれが自分の好みになるかはわからないようでした。

私の感想は
1回目はラをこのタイミングで弾くには音が小さすぎて、1つ目のシとのつながりが弱い、ラが弱すぎて2つ目のシを弾いても終止感が薄い
2回目はラからシに移るのが早すぎて、このタイミングで弾くならある程度2つ目のシも大きくしなければいけないが、そうなると終止感が弱くなる
3回目はラもシも弾くタイミングがわずかに早く、タイミングと音量が合っていない、でした。

鍵はラからシに移るタイミングと2つの音量差かなと思い、ラをあと少し伸ばして弾いてみようとアドバイスしました。
その練習音源がこちらです。

また、これを聞いてお互い感想を言い合って、4回目と6回目(一番最後)の表現が良いと結論が出て、
彼女はここをその様に弾くことになりました。
たった3つの音のつながりをどう弾くかに、15分位かかりました。
でも彼女が自ら表現を作ることをした、とても大事な15分でした。

この場所は、私はシラで終わる半終止的な表現、
彼女はシラシで終わる不完全終止的な表現が好みな様です。
どちらが正しいというのは無いでしょうが、
カデンツの流れからいくと彼女の方が王道な表現かもしれません。


このレッスンの後、なぜ自分がこの表現をしていたか考えたのですが、
どうもやっぱり荘村先生の影響が強い気がします。

先生の最近のCDを何度も聞いたのですが、好きな表現が多々あり、
それで納得しました。



脱線しました。
大事なのは彼女が自分で好きな表現を選んだこと。
そしてそれを私は否定せず、本人はもちろん、多分多くの方が聞いても納得のいく表現に導けたこと。


この後も続きを練習していきましたが、後半の部分で、
彼女が自ら「ここはポンティチェロで弾きたい!」とアイディアを出してくれました。

彼女はあと少しで習い始めて3年になりますが、そういう風にアイディアを出してくれたのは初めてで、
そして自分はここ2年ほどずっと、どうすればそれが出来るか考えていました。


彼女がアイディアを出せなかったのは、まだ小学三年生と言うのもありますが、
私のせいでもあります。

1年生の頃、コンクールに出たいと言うことで1年間かけて練習し、
2年生で2つのコンクールに出て、2つとも小学校低学年の部で金賞をとりました。
結果としては良かったのですが、私がしたことは私の演奏を徹底的にコピーしてもらうことでした。


練習用音源は遅いテンポからはじめ、分割したのも含めると20こ以上作ったと思います。
それを聞いて、一緒に合わせて弾いてもらうと言う練習、
そしてそれが可能になるような技術的なレッスンが一年間の主なレッスンでした。


1年と言う長い間それを行い、しかもコンクールでよい結果も出てしまったため、
私の用意した演奏をコピーするのが上達に繋がると彼女は思ってしまった様です。
事実レッスン課題曲の私の演奏動画を送ると、次のレッスンでは、
ブレスのタイミングや長めの休みで私が手を下げる悪い癖まで真似していました。

それでも次の年もギター暦が短い別の子がコンクールに出て、
銀賞次席をとれたので、このレッスンスタイルは皆さんの演奏の向上に役に立つと思い、
今まで教室全体のスタイルにしていたのですが、
やはり私ごときのコピーを強制するのは申し訳ないという気持ちがありました。

練習のための模倣も大事なんですけどね、音楽だけでなく色んな分野で。


でもやっぱり更にその先があるのではないか、そんなもやもやした思いがありました。


それで作ったのがナチュラル・デクレッシェンドと言う表現です。
上手い人は多分みんなやっていることなんですが、その人なりに歌うと言うこと、
ギターが減衰楽器であり、それを認識した上で演奏表現を考えてもらうことが目的です。

思いついたのは結構前で、もう1年ほどになります。
前にも書きましたがこの曲で最初は練習してもらおうかと思っていました。
http://www.ichikawa-cgt.com/syuyo

まだこの時はナチュラルデクレッシェンドという言葉も作っていませんでしたが、
これを表す言葉があったほうが、その手法を覚えてもらえると思い、勝手に命名しました、ごめんなさい。


勝手にそういう言葉を作ることに対する罪悪感はもちろんあり、
おまけに曲まで作って公開してしまい、最近胃が痛いですが、
今回、この子が自ら表現を考えると言う新しいステージに移行できたことで、それが少し柔らぎました。

そして、多分これから生徒さんみんなに、
時期は違えど身につけてもらえると言うある種の確信も持てました。

今回のことが実現したのは、やはり尊敬する演奏家の方の音楽に対する考えをブログで読んだからです。
ありがとうございます。


まずは一人目、たった3つの音から始まりました。


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