クラシックギター講師市川亮平のブログ

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zoom RSS 後悔なく生きるのは難しい

<<   作成日時 : 2017/07/18 23:34   >>

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今年は小学5年生が2人、ジュニアギターコンクール小学校高学年の部に参加し
銅賞主席、次席を並んで受賞しました。
お2人とそのご家族の皆様、おめでとうございます。
長い間の努力が報われなによりです。
http://www.guitar.gr.jp/junior/
去年は入賞者の演奏がこちらにアップされたので今年も同じようにアップされるのかもしれません。
https://www.youtube.com/channel/UCjEG2SZjJhEBc24VTusY4ag


この日の付き添いのためにレッスンをお休みにしてしまい、該当する方には申し訳なく思います。

今回は代えの弦、チューナーや電池、足台、滑り止め、ストップウォッチ、考えられる器具の予備なども完璧に揃え、お蔭様で無事サポートの役目が果たせたと思います。

今回は演奏の補助も色々考えられました。

ジュニアギターコンクールは毎年台東区ミレニアムホールでやるので、使用する椅子を調べ
ミレニアムホールにある背もたれ付きピアノ椅子2脚、ヤマハNo.5と 吉澤 Yoshizawa 5K 両方買いそろえました。
毎年固定かはわかりませんが、昨年と今年は舞台袖がヤマハNo.5で舞台用が吉澤でした。
ヤマハはクッション性が高いというかテンピュール(低反発)に少し似た感触で、吉澤はクッションがやわらかい分、その下の座面の固さを感じられます。
座り比べたところ短時間なら吉澤の方が弾きやすいように思いました。
2017年6月のことで今後はまた買い替えなどもあるかもしれません。

また、参加する子1人はギターレスト、1人はテヌート ギターサポートを使っているのですが、
滑り止めをこのそれぞれの支持具にマジックテープで貼ることで弾きやすさが少し向上したみたいです。。
私ももう10年以上ギターレストを使っていますが、自分のギターレストにも採用しました。
画像

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参加した2人ですが、事情があり、曲を仕上げていく上で異なる進め方をしてきました。


銅賞主席の子はアグアドの序奏とロンドのロンドを弾きました。
この子はジュリアン・ブリームの演奏がとても好きで、J.ブリーム編の演奏を目指していました。


J.ブリームの演奏は、原譜とは異なり装飾が付け足されているので
コンクールは原譜を元にした版で弾くことを勧めました。
ただ、この子は「絶対にブリーム版で弾きたい、そのために入賞できなくても良い」と強い決意をしていたので
その気持ちを応援することにしました。


と言っても残念ながら楽譜は手に入らず、この子と私の生徒でもあるお父様とみんなで頑張ってその演奏を目指しました。

J.ブリームのボックスにあるCDとDVDでロンドの演奏は違うのですが、この子の好みはこのDVDの演奏でした。
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その再現のために5時間程DVDを繰り返し見続け、楽譜にその表現の記号を綴っていきました。
もちろん生で聴いたものでは無いし、私の耳も充分ではないので、抜けている部分も多々あったと思います。

その中で、J.ブリーム氏の奏法の切り替えの巧みさを強く感じました。
そしてその切り替えの訓練をすることは、この子だけでなく生徒さん皆さんの演奏表現を一層豊かにできるのではないかと、新しい演奏表現の指示記号とスケールでの練習資料を作りました。
http://www.ichikawa-cgt.com/Cdur.pdf
http://www.ichikawa-cgt.com/Gdur.pdf

新しい記号はal tasto、al ponticelloの2つ、tasto(指板)に向かう、ponticello(駒)に向かうという意味です。
勝手に記号を作る罪悪感はあるのですが、今回これ以外にブリームの表現を記譜できないと思い作りました。
造語ですので私の生徒さん意外には責任が持てない旨、ご了承頂ければと思います。
こういうテーマに戻るときの音階や半音階進行で効果があると個人的に感じました。

他にも色々使いどころがありそうで、これからどういう箇所で効果が期待できるか楽しみです。


この曲は版により#の有無など表記が異なり、楽譜を何種類か買いました。
その中で、写真の一番上、現代ギター社出版の「アグアド ギター作品選集」が注釈も有り参考になると感じました。
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以前に発表会の序奏とロンドのタイトルを「3つの華麗なロンドOp.2-2」と表記し、その後メールで「Op.2-3」が正しいと訂正いただき変更しましたが、やはりOp.2-2が正しいようです。
現代ギター社の「アグアド ギター作品選集」の「ノートおよび校異」に
原典のメッソニエ版がOp.2-1のアダージョとポロネーズをNo.1、No.2として分けてしまったため、本来Op.2-2のロンドが2-3となりそれを引き継いでしまった楽譜もあるとのことです。
ブリームのCDボックスもOp.2-3となっています。

私の不勉強から混乱をさせてしまった方がいましたら申し訳ございません。







上にJ.ブリームの演奏を目指したと書きましたが、このやり方で仕上げ、コンクールで弾くことには私は抵抗がありました。
勉強としての模倣や楽しみで大好きなギタリストのコピーを目指すのは、その人にとって大きな喜びがあるとは思いますが
コンクールという場で不完全にしろ他人の演奏のコピーを目指して奏するのは、運営の皆様、審査員の先生方、何より競い合う参加者の皆様に失礼だと感じました。
そこで大きな形としてJ.ブリームの演奏表現をある程度模せたら、そこからはこの子や親御さんに意見を伺いながらオリジナルの表現を模索していきました。

オリジナルの表現の模索は、例えば「ブリームさんはここをこう弾いているけど、こういう表現もできる。君はどちらが好きかな」と質問し考えてもらい、自分がどういう演奏が本当に好きか、数パターンの演奏を試し、録音し聞いてもらい、自分自身と向き合ってもらう形で進めました。


この時に行うべき私の仕事は、一部の表現を変えた場合、そのパッセージ全体のバランスが少し狂うのでその調整をすることです。
これについては、今生徒さんに演奏動画を録画させてもらっているので、また別の機会に説明したいと思います。


このやり方が間違っているとは思いませんが、まだ年も若くギター暦も数年の子供にこの手法を行っても良いものか、コンクールに参加する方に行うべきレッスンなのか、レッスン当時もずっと迷い、今も迷っています。

ただ、私は今回参加した子達の演奏がとても好きで、コンクールという舞台で聴けたことを嬉しく思っています。


この先もまたこの件を考えていくのでしょうが、コンクールという舞台に参加するしないに関わらず、自分が本当に好きな表現を自分の望むように弾いている人の演奏は楽しそうで聴いていて気持ちが良いです。


それができない場合、技術的に何かが足りない、または演奏上必要な思考が足りていないのですが
この2年ほどそれらの不足を取り除くレッスンを行うにはどうすれば良いか、ずっと考え、模索してきました。


今回のロンドや朱色の塔クラスの曲までなら、自由な演奏を行うための技術的な問題の排除が行えるくらいにはなったと思います。
まだまだ始めたばかりの手法ですが、今は初心者からそこに到るための練習のルートが繋がりつつあります。

現在はその資料や練習動画作りに追われ、完成まではもう少しかかると思います。


ロンドの子はJ.ブリームのDVDの演奏をベースにそこからオリジナルの演奏を作ったと書きましたが
朱色の塔を弾いた銅賞次席の子は楽譜通りに弾き、そこからオリジナルの演奏を作るという方法で演奏を作っていきました。
結果としてこの子の方がオリジナル要素がかなり高い演奏になりました。

コンクール前日まで林間学校でギターに触れなかったのですが、それを感じさせないとても良い演奏をしてくれました。

この曲はいくつかの候補の中から選んでもらい、原曲がピアノなのでまず数種類ある中のどの版で弾くかから始めました。
初めは名編曲と名高いリョベート版かとも思いましたが、調弦時間も演奏時間に含まれるためある程度の速さで弾けること、自由な表現がしやすい版を考え、ショット版で演奏することにしました。
(毎回レッスンでストップウォッチで調弦時間を計っていましたが、6弦をEからDにするのに大体速くて20秒安定させるため30秒は見ておくと安心といった感じでした。ペグはGOTOHの約1万5千円のものです。)
上から2番目がショット版です。
画像


この子はロンドを弾いた子が意図的にJ.ブリームの演奏のみを参考にしたのとは逆に、原曲のピアノの演奏であるピアニスト2名の演奏も含め、10人ほどの演奏家の演奏を聞いてもらいそれを参考にしました。

ショット版またはそれに近い版で演奏している方を探したところ、youtubeではこの3人の方が見つかりました。
https://www.andreyparfinovich.com/videos
https://youtu.be/_-tB7EUwMuw


https://youtu.be/jiuA6Env_3I

https://youtu.be/oQ20U7-6l44

他にもJ.ウィリアムスや福田進一さんといった巨匠の方々の演奏も聞き比べ、
その違いからこの人はどうしてここをこう弾いているんだろうと意見を言い合ったりもしました。

ショット版の楽譜はかなり演奏記号が細かく書いてあり、まずはそのとおりに弾くことを目指し、
その後転調部をはじめとした曲調が変わるところでどう弾きたいか意見を聞きながら表現を決めていきました。

わかりやすい所ではギター版ではニ短調からニ長調に変わる手前の68、69小節目です。
原曲(ホ短調からホ長調)やリョベート版の表現ではこうなっています。
68小節目1拍目にsfの指示、そして69小節目に向けデクレッシェンドです。
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この子は朱色の塔でも課題曲ソルのエチュードでも、曲調が変わるところでクレッシェンドとアッチェレランドで突っ込む表現が好きなようでこの様な弾き方を選びました。
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ここは多くの奏者がデクレッシェンドで弾いていたのでその人たちの演奏を聞き、「みんなこう弾いているけど違う弾き方をしてコンクールで減点されるかもしれないけどそれでも自分の弾き方をする?」と質問し、それを望んだので
私は「その突っ込む弾き方をするなら68小節1拍目でテヌートをして一度速度を落とし、1拍目から2拍目の音で減衰を合わせてからクレッシェンドとアッチェレランドをしたほうが良いと思う」と伝えました。

それを私が再現したものがこちらです。
http://www.ichikawa-cgt.com/torrebermeja68-.mp3

他にも同様にかなり細かく、どういう弾き方を望むか意見を聞き、形を作っていきました。
その時に重要視したのは楽譜と異なる演奏をして評価が下がっても後悔しないか、ということです。

ただ、それをして行く上でどうしても私の意見が反映されてしまい、そして今の私のレッスンのテーマが表現を自由にという事もあり、歌うような表現が過度になりすぎてしまったという反省があります。

この子は本当に真摯に練習し、表現のための技術的な問題の排除が高いレベルで出来て
望むならどういう演奏だって出来たと思うのですが、私がその表現の指示を誤ったと考えて間違いないと思います。

結果としてこの子は、より上を目指すため、ご希望により私よりもキャリアのある先生を紹介することとなりました。

自分の力不足が不甲斐なく、この子を悲しませてしまったことを本当に申し訳なく思います。



今回参加するに当たっての私の目標は、参加者とそれに関わる皆様が
自身の演奏とその結果に後悔せず納得することでした。

そのために人との交流も絶ち、ブログも止め、自分の演奏も止め、使える時間は全て使い、資料やレッスン道具も買い揃えました。
手放せるものは全て手放し、その中には手放してはいけないものもありましたが、それでも力不足だったということが残念でなりません。
この1年精一杯やったと胸を張っていえますがやはり後悔はあります。


ただ、もはや自分からレッスンをとったら何もないところまで来てしまいました。
去ってしまった子が今まで未熟な私についてきて下さった事を感謝し、その子の今後の活躍を祈りつつ、また前を向いてさらに努力し歩んでいきたいと思います。

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