北海道星撮りキャンプツーリング3日目後半~旧タウシュベツ川橋梁~

前回

仮眠をとろうとしたが眠れず焦る。

空は曇ったまま。今日は無理かなーとがっかりしつつ晴れたときに備えるためカップ麺を食べる。

北海道に来てからやたらおなかが減ることに気が付いたので遅いお昼の後4時間くらいだったが、食べられるときに食べておく。

ぬかびら野営場から坂を上ってすぐのところにこの辺唯一の商店があってそこで買った貴重な食糧だ。
老夫婦がやっているお店で結構広く、木彫りのお土産がたくさんあった。
熊鈴もそこで買った。
夜8時くらいまでやっているこの辺の観光客にとって物凄く有難いお店だ。

食べながら、今日は晴れたらタウシュベツ橋に行き、その後三国峠の緑深橋からも星を撮り、朝までいて雲海も撮ろうかなフフフと欲張った皮算用をしていた。

ただ、天気と体力と熊と道路に街灯が全くないのが心配だった。不安要素多いな。

結局眠れず空も微妙だが晴れ間が出ると予報されていた21時まで粘ることに。

色んなサイトの予報をみていたら三国峠が晴れになりタウシュベツ橋は0時頃晴れると出ていた。

先に三国峠に行こう!と思い立ち20時頃出発。

ところが進んでいたらどんどん晴れてくる。

そこで当初の予定通り、明日には許可証を返さなければいけないタウシュベツ橋にいくことにした。

途中街灯が全くなく先行・後続・対向車もなく怖かった。

なんで自分はこんなことをしているのかと割と真剣に自分の人生について考えた。

ハイビームの中真っ直ぐに並ぶ反射板が先に行くほど光が弱まり、それがまっすぐ並んだ蝋燭のようでなんだか異世界に迷い込んでいくようだった。

そしてこの入口へ。当然真っ暗。昼間の100倍くらい怖い。

鍵を開け、通り、閉めて進む。

既に心臓がバクバクしていた。

帰りたい帰りたいと思いながら進む。


長野でも昨日熊が出たという所で夜に結構撮影しているが、あれはツキノワグマ、今回はヒグマである。

のちに知床で羆可愛い!大好きおじさんに会ったりするが、自分のヒグマのイメージはあったら最期、食べられてしまうモンスターである。

途中ヒグマ注意の看板がいくつかあり、それにバイクのライトが当たり光る度に怯えていた。

この時、周りに家がないのはわかるが、もしかしたら1軒くらいあるかもしれないと思いクラクションを鳴らさずに進んでいた。

後で管理局の方に聞いたがこの道はクラクションを鳴らして進んでも良い、誰にも迷惑は掛からないらしい。


そして駐車場近く、昼間熊の糞を見たあたりで2つの光を見る。

あ…やばい!と思い急ブレーキ。


CD125Tのハイビームの距離はわからないが50mくらいかな。

その範囲には入っていないので、まだ目が光っているだけ。

姿は見えない。

鹿かな?鹿だよね、鹿であってください…

近づいてきて体全体が見えた。

やはりヒグマだった。

でっかい。


しかし全体が見えたところで近づくのをやめてこちらを見ている。

後になって考えればそれはそうだ。

熊からすれば突然とても明るい光を放つ大きな一つ目をした生き物が、ブロローと大きな音をさせてこっちを見ている感じである。

目でかっ!しかもうるさ!お前が怖いわ!である。

しかしこっちはパニック状態である。

突っ込む→死。熊スプレーで戦う→まあ死。踵を返し帰る→追いつかれ死。いくつも選択肢が出るが結構死んでしまうなあ…父さん母さんごめん。みたいなことがまず浮かんだ。

その後妹や弟の顔が浮かび生徒さんの顔が浮かんだ。

時間は計っていないし、やたらに長く感じたが大体3分くらい対峙していたと思う。やつも気が長いものだ。


その後ちょっと冷静になり、ゆっくりと背を見せず後ろに戻るという熊対策を思い出し、今日は帰ってまた申請をとって別の日に来ようと考えゆっくりと後ずさり。

バイクなので当然スムーズにいかず仕方なくUターン。


追ってこないでくれーと思いながら30mくらい戻ったが、これで良いのかと止まる。


前から取り壊しの話が出ているタウシュベツ橋。

ここに来て偶然晴れていて星が撮れるのも最後だろう。

ここで帰って2度とチャンスが無かったら本当に一生後悔するだろう。そんな考えと「もう良いじゃん。ヘタレなりによくやったよ」という考えが行ったり来たりする。

多分1分。

後ろから音がしないが熊が来るような気配がしたら急いで逃げる用意はしている。

うーん、どうしよう取り合えず怖いから後ろ見てみよ、と振り向くと熊はいなかった。

一瞬安心したが、その辺にいるだろうから気は抜けない。

取りあえずクラクションを断続的に鳴らしてエンジンを吹かせる。

対峙した熊ならこの行為は危ないかも知れないが、逃げた熊ならもっと逃げてくれるだろうという希望的観測だ。


クラクションを鳴らしながら恐怖と星が撮れる希望で変なテンションで進んだ。

駐車場につくと青い車があった!心底ホッとした。

あの昼間会ったカップルがいる!という喜びは一生忘れないだろう。

熊が追ってくるかもという恐怖でカメラを急いで出し、荷台にくくりつけた三脚をとる。

慌てて無理矢理撮ろうとしたのが悪く、荷作りゴムに引っかかって中々とれない。

無理矢理三脚ケースから三脚を出し橋へ急ぐ。

昼間の部のブログに動画を載せたが駐車場から橋まで約3分ほど、倒木がいくつもある狭い道を進む。

狂ったようにジャラジャラ熊鈴を鳴らし、ヘッドライトをあちこち照らし進む。


倒木が歩くのを邪魔してもどかしい。

なんとか開けた場所へ。


そこにはライトが二つ光っていて大声でこんばんはーと叫ぶ。


こんばんはーと帰ってきてここでようやく人心地がついた。

こんなに見知らぬ人に感謝したことはない。

撮影の邪魔にならないようここでヘッドライトを切る。

習ったりしたわけではないが星を撮るときのマナーだ。


二人に事の顛末を伝える。

向こうはそんな情報怖くなるから聞きたくなかっただろうに申し訳ない。でも用心はするから伝えたほうが良かったのだろう。

空は黒い雲がかかってはいたが星が綺麗だった。標高2700m強の乗鞍岳レベルじゃないかな。

来て良かったと心から思った。

三脚にカメラをセットし設定を決め、焦点を合わせ撮影開始。

橋の黒影と星が思っていたよりもずっと映えて嬉しくなった。

また、来て良かったと思った

先に来た2人(彼氏)は橋の右側からとり今度は左から撮っていたので自分は右から撮ることにした。

壮大な橋に魚眼レンズの効果がとても良い。ソフトフィルターも良い。

このために持ってきたようなものだ。

DSC_7998記名.jpg


これはカップルの彼氏さんが橋にライト当てても良いですかーといったので良いですよー、と言って自分もそのタイミングで撮ったもの。

彼も自分と同じで景色と星を撮るのが好きで、しかもそのために景色にライトを当てる手法を使っていた。

自分は乗鞍岳で旅館のライトが高原を照らしてるのが綺麗だなー、そうだ!自分でライトを当ててこういうのを撮っても良いんじゃないかな?と偶然思いついたが彼もどっかでそんな体験をしたんだろうか。

DSC_7996記名.jpg

30分ほど撮り、次はインターバル撮影を始めた。

魚眼はソフトフィルターを貼っているので14-24の出番だ。

ソフトフィルターを貼っていると星の軌跡が太くなりイマイチなのだ。

雲が西からどんどん来るので時間との闘いだと思い、範囲は狭まるが流れるのが大きい24㎜側で撮ることにした。

10分くらいかなあ。

ちょっと流れが足りなく感じる。もう少し粘れば良かったが、やはりここにこの撮影方法は合う!

タウシュベツ_01記名.jpg

到着したとき上に蚊取り線香を2つケースに入れ石の上に置いてきた。

周りに火の付きやすそうなものは無いか確認済み。

それと2,000円で買った本格的な熊すずを常にガラガラしていたせいか熊の気配はない。

しかし、橋の下へ降りていって北を見るとちょうど丘が見えるのだが、近くに並んだ2つの星が熊の目に見えたり、大きな岩の黒い陰が熊に見えたりビクビクしていた。

10時頃雲が空にかかりだし三人とも撮影をやめて晴れるのを待つことにした。

彼氏さんは星撮りを相当やっているようで登山して星を撮る話や将来撮りたい構図などを話してくれた。

星空だけで無く景色や特別思い入れのある対象物と共に撮るスタイルは自分とよく似ていて盛り上がった。

他にも北海道で食べた美味しい物や、今までの星撮りの旅の事、レンタカーでキャンプしながら回っていることなど話してくれた。

レンタカーは1週間3万円とびっくりするくらい安くて、フェリーでバイクと共に来るより良いなあと思った。

23時に晴れると出ていた予報は外れ、まだ雲が晴れない。

自分は割と満足したが、彼氏さんはまだ撮りたいものがあるらしく、その気持ちは良くわかるのでもうちょっと待ちましょうかと一緒に待った。

彼女さんもあっちに星が見えてきたよ!と励ましたり良い人だなあと思った。

しかも彼女さんは星にあまり興味がないのに撮影に付き合っているのである。

満足いくまで何時間も粘りがちな星撮りからしたら興味もないのにずっと待ってくれている彼女は聖人である。


流星群の日でその間流れ星を沢山みた。

北の方は晴れていて、北に今まで見た中で最も大きな火球が流れ、あれ撮れてたら一生の自慢になりましたねーと言ったり、流れ星を何個も見たのに願い事言うの忘れたーと中々楽しかった。

天の川は南東に出るので北側は晴れていても二人ともカメラを向けなかったのだ。

彼氏さんの写真を見せて貰ったら凄く綺麗に濃く天の川が写っていて驚いた。

ペンタックスのアストロトレイサーと言う、星を追尾するように動く機能が内蔵されているカメラの効果だ。

ペンタックスのカメラならではの機能で自分も発表当時興味を持った。

ただ、自分がその時に見た作例が思ったほどでなく、今のカメラにしたのだ。

彼氏さんの写真が作例にあったら買っていたかもしれない。

同じ機能の外部機器として赤道儀という物があり、自分は携帯赤道儀ポラリエというものを持っている。

携帯ではあるが少し重いのと荷物が多いのと、最大の理由として星は追うがその代わり景色はぶれるという理由で持ってこなかった。

彼氏さんもそのブレを気にしていたが、橋の形もあるのか3分のものでも思っていたほどでなく、現像でなんとかなりそうと思った。

天の川がそこまで濃く写るなら多少のブレは良いかなーと思えるほどで、ポラリエを持って来なかったのを後悔した。

話しているのも楽しかったが、その間ずっと熊すずを鳴らしていて腕が疲れてきて流石にそろそろお開きかなと言う頃、ちょうどここまで待ちましょうかと決めていた0時に橋の上に天の川の根元が見えてきた。

天の川は根元が1番濃く二人とも早速撮影に。

所がここで問題が起きた。

星の焦点が定められないのだ。


ライブビューで星を見つけられない。

自分は初心者の頃でもなんとか見つけられ、さいたま市でもそれができたのにできないのだ。

こんなに星があっておかしいなと思って色々やってみたがダメで結論として疲労が出てきたからと判断した。

今日朝4時に起き上士幌町、糠平キャンプ場、タウシュベツ橋、三国峠と走り蚊に刺された足もどんどん腫れてきて疲労で集中力が無くなったのだ。

この2日後に病院で熱を測ったら38度あったので、この時もそのくらいあったのかもしれない。

ライブビューのちらつきがコウモリの大群が飛んでくるように見えたり空に白い模様が見えたりで、やっと自分の体がおかしいとわかった。

これでは三国峠までなんて無理だ。

それでも何度も撮っていたらなんとか焦点が合っている写真が1枚だけ撮れた。

DSC_8053記名.jpg

1時を過ぎ、体調の限界を感じ、そろそろ帰りますと伝えると二人も撮り終えたようで帰ることになった。


駐車場に戻り、またおっかなびっくり進みなんとか出口に来たときはホッとした。

お疲れ様でしたと言い合い3人とも十勝方面へ。

途中糠平キャンプ場でお別れした。

多分あの二人のことは一生忘れないだろう

初対面なのに短時間で随分仲良くなったが敢えて名前やTwitterアカウントは聞かなかった。

なんだか野暮な気がしたのだ。

いつか彼氏さんの撮りたいと言っていた写真がどこかで見つけられてあっ!ついに撮ったんだーなんてことになると良いな。

夜中2時頃キャンプ場に着く。

エンジンをかけて入ると申し訳ないので、手前300mでエンジンを切り、離れた場所にバイクを停め、大事な物だけ持ってひっそりとテントへ。

どっと疲れたが興奮して眠れず寝入るのに時間がかかった。

長くて怖くて、でも最高の1日だった。

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