第2回ネットで発表会♪

通常年に1回は収容者数300人程のコンサートホールを借り、1年間の練習の成果を披露して頂く機会を作っているのですが、このコロナ禍で中々難しく、代わりの場としてこの記事内で皆様の演奏動画をご紹介致します。
ご参加の皆様、誠にありがとうございます。
お疲れさまでした。
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こういった催しは舞台での1回きりの演奏と違い、緊張感は軽減してしまうかもしれません。
しかし、代わりに録画→確認→修正→録画を繰り返すことで客観的に自分の演奏やフォームを確認する、具体的な修正点を一人で探す、と言った普段中々やりにくい作業を身近にしていくといったメリットがあります。

私のアカウントでアップした動画は全て限定公開で、のちに演奏者のご希望があれば削除・非公開にさせて頂きます。

まず大人の部、次に高校生以下の部と言った流れで、動画ご提出順にご紹介していきたいと思います。
ご提出いただいた動画の音量が小さい場合、こちらで編集して音量を上げておりますが、限界もあり聞きにくい場合がございます。
誠に申し訳ないのですが、ご視聴の端末のボリューム調整でご対応頂ければ幸いです。

今回簡単な課題曲を1曲設けました。
理由や演奏のポイントなどをまとめた記事も書いたのですが、乱文でだらだらとやけに長くなり「これ必要かな?いや要らない!」と判断しました。
皆様の演奏のコメントを読んでなんとなく察してください。
理由や演奏のポイントよりも「同じ曲でもこの人はここを強く弾いている、この人は弱く弾いているのはなんでだろう?」と感じてもらえればそれだけで課題曲を設けた価値があると思います。
【大人の部】
No.1:Kさん
課題曲

組曲ニ短調よりブーレ/ロベール・ド・ヴィゼー
課題曲は伸びやかによくまとまった演奏をして下さっています。
開放の音と弦を押さえての音の質に差異があまり無く、曲の収め方も静かに綺麗に終えられていると思います。

ド・ヴィゼーの組曲ニ短調はプレリュード、アレマンド、クーラント、サラバンド、ガボット、メヌエットⅠⅡ、ブーレ、ジーグで構成されています。
少しずつ進めていて今回はブーレに挑戦してくださいました。
ブーレは本来2拍子の速い舞曲なので、倍くらいの速さで弾くべきなのですが、先に脱力や表現、声部の弾き分けを完成させることを目指しました。
そうしないと速くした時、表現に限界がくるからです。
ゆっくりではありますが、別々の動きをする声部それぞれに気を配り、その表現をしっかりとコントロールしていらっしゃいます。
対位法の曲は特に左指が自由でなければ弾けないので、脱力を心がけながらの演奏が難しかったと思いますが最後まで良く弾けています。
12小節のソラシのオクターブの統一が綺麗でした。
今の状態でテンポを上げていき、軽さや舞曲らしいリズム感を出していくことがこれからの目標になるかと思います。

No.2:Oさん
課題曲

武満徹「ギターのための12の歌」より「オーバー・ザ・レインボー/H.アーレン」
課題曲は1度だけレッスンで聞かせて頂きました。
その時は確か1ポジションで開放の音も交えて弾いていらっしゃったと思います。
曲の雰囲気も良く出ていましたが、「もう少し色々試してみます」と仰っていて今回の演奏になったようです。
ビブラートをうちの教室では4種類に分けているのですが、その使い分けが見事です。
8小節目のミがとても丁寧で、感心してしまいました。
7小節目から8小節目シからミへの跳躍を同一弦でポジション移動(距離の跳躍)することで、上手く表現できています。
しっとりとした演奏で全ての音がよくコントロールされていると思います。

武満徹編のオーバー・ザ・レインボーは弾いたことがある人ならわかると思いますが、左手の押さえ方がかなり難しいです。
そのため、この曲を弾く水準に達していないと、メロディーが途切れ途切れになったり変な所にアクセントが付きかくかくして、全く原曲の良さも編曲の良さも出せません。
この方は7か月ほど前から習い始め、元々お上手だったのですが、左手が少し力んだり、フォームが効率的でなかったので基礎練習でそれを改善し、曲ではアゴーギク(緩急法)やデュナーミク(強弱法)、終止形を元にした旋律の区切りの作り方、などをお伝えしました。
それら全てがオーバー・ザ・レインボーに活きている素晴らしい演奏だと思います。
既に同じく12の歌の「ロンドンデリーの歌」もほぼ終え、次の曲に取り組む予定です。
技術はしっかり身についてきているので、楽曲分析に慣れてそれを演奏にどう活かすかと言う経験をもう少し積めば、レッスンを受けなくても一人でレベルの高い演奏を作って行けると思います。

No.3:Sさん
課題曲

エチュードOp.6 No.11/F.ソル
課題曲は全て4ポジションのみでビブラートを巧みに使い弾いてくださっています。
同一ポジションで弾くことで、ポジション移動で起こる、力みに寄るイメージにそぐわない音が出ることを避けられます。
4小節目の4分休符で共鳴のために全弦消音をしたり、細やかな工夫が見て取れます。
演奏を通して違和感がなく、技術がある事が良く分かります。

この方は不定期で3ヵ月に1度?くらいレッスンさせて頂いています。
かなりギター歴の長い方達が集まり、定期的に舞台で演奏を披露する会に参加されているみたいで、とてもお上手です。
そういう自分の演奏を披露する場を持っている方ですが、今回わざわざご参加くださいまして大変感謝しております。

このソルのエチュードOp.6 No.11はソルのエチュードの中でもトップクラスに難しい曲だと思います。
小節内で和音や運指が変わる事が多く、指が自由でないと付いていけません。
プロ奏者のコンサートでも弾かれる事がある、旋律の美しいアルペジオの曲で、それを流麗に弾けているのが素晴らしいです。
同一フレーズの繰り返しの雰囲気の変え方も、こう弾きたいというSさんの意思がはっきりと伝わってきて変化を楽しませてくれます。
この曲は1回だけレッスンさせて頂いたのですが、転調に入る際の雰囲気の作り方、全体の終止感の出し方、曲の最後3:56あたりからの主和音の繰り返しが単調になりやすいので、どう弾くか等をお伝えしました。

この方も既に技術はあるので、表現の引き出しを増やし、楽曲分析の能力を上げていくと、更にギターを弾くのが楽しめるのではないかと思います。

No.4:Yさん
Zガンダム後期OPテーマ「水の星へ愛をこめて」/ニール・セダカ 
Yさんは諸事情により自由曲のみのご参加となりました。
お仕事がかなり忙しく、あまりお家で大きな音が出せないと言った理由で、練習時間がとれないご様子でしたが、ご参加ありがとうございます。
この曲をご希望だということで私が編曲させて頂きましたが、力不足でかなり弾きにくくなってしまい申し訳ございません。
この曲は森口博子さんのデビュー曲らしいですね。
そう言えば一昨日3月9日に森口博子さんのガンダムソングカヴァーズ3というCDがリリースされたそうです。
アメリカのシンガーソングライターのニール・セダカさんの未発表曲「For Us to Decide」にアレンジを加え、歌詞をつけ森口さんが歌ったという経緯のようです。

歌の部分、伴奏の部分を区別して弾くのが難しいアレンジとなってしまいましたが、よく弾けていると思います。
全体の音、特に低音が良く鳴っていますね。
少し音が薄い編曲になってしまったかな?と不安がありましたが、音の太さでそれを感じさせない演奏です。
皆様苦戦している「右手の重心を小指に置き、それによりボディ側に手の重みを乗せる」という奏法をこの方は無事身につけられた成果だと思います。
お仕事の都合であと少ししかレッスンできませんが、次の曲もできるだけサポートしていきたいと思います。

No.5:Oさん
課題曲

幸福の硬貨/菅野祐悟

愛のロマンス
課題曲は3拍子のリズムをしっかり感じさせてくれる、伸び伸びとした演奏です。

この方はご友人2人とトリオでアンサンブルをされているらしく、それがソロでも活かされている気がします。
レッスンでもいつも感じますが、音が太くしっかり鳴っていて聞いていて気持ち良いです。
4小節目の休符での共鳴のための全弦消音、ローポジションながら豊かなビブラートなどギター歴の長さが感じられます。

この方は約2年前からだいたい月に1回の頻度でレッスンさせて頂いておりますが、レッスン内容は脱力のための基礎練習やフォームを整えると言った事が中心です。

元々曲の特徴をしっかり掴む能力や自分の音が良く聞けていて、自分の弾きたい演奏がはっきりしており、レッスンで初めて弾く曲でも既にある程度完成している事が多いです。
それで曲の時間が少なめのレッスンでも問題ない感じです。
幸福の硬貨、愛のロマンスともに旋律がはっきり弾けていて、聴きやすくその美しさがわかりやすいです。
音が太くしっかりしていると上にも書きましたが、柔らかい繊細な演奏もできています。
ただ、その割合がやや少ない気がするので、そのあたりを調整していくと、ベースとなる太い音が更に活きると思います。
今後のレッスンで追及していきたいと思います。


No.6:Sさん
課題曲

エチュードOp.6 No.12
課題曲は1ポジションで開放の音を避け奏しています。
音色の質が統一しやすいという意図だと思います。
また、単旋律を弾く時にしっかりした音を出しやすいアポヤンド奏法を使用しているのもこの曲を魅力的に弾くための良い工夫です。
終わり方もしっとり静かな雰囲気を作る良い表現ができています。

ソルのエチュードOp.6 No.12は高音部の繊細で伸びやかな旋律、中音域は細かく動いていく非常に難しい曲です。
内声は特に3度の和音で進行していくことが多く、ただ音を出すだけでも難しいのですがメロディーも内声もきちんと表情をつけ、しっかりコントロール出来ていると思います。
イ長調から同主調のイ短調に転調し、再びイ長調に戻る3部形式の曲ですが、2度の転調の雰囲気の変化もしっかり意識できています。
イ短調からイ長調に戻るところは作曲者のソルの工夫が見てとれるのですが、それを活かせた転調になっています。
技術的にはセーハをしつつ、内声が細かく動く箇所が多いため、セーハがずれて音が割れやすいということで、できるだけ左手の重心を細かく変更していくということを目指しました。
完璧とはいきませんが、相当しっかりそれを練習していらっしゃると思います。
次はいよいよ並行して進めていたアルハンブラの思い出、頑張りましょう。

No.7:Kさん
課題曲
無伴奏チェロ組曲第6番プレリュード BWV.1012/J.S.バッハ
課題曲は緩やかなテンポで1音1音丁寧に弾いてくださっています。
手が見えませんが、弾く弦から推測すると恐らく最初は4ポジションで弾いてくださっています。
7,8小節のシ、ミは敢えて開放で弾き、右手も下駒に近づけていることから、はっきりとした音色が相応しいと選択されたのでしょう。
その後9小節目のミは2弦、10小節目のミは開放で音色をサウンドホールに近づけ音色を変えています。
同じミを2弦と開放で弾き分けた理由は、共鳴や同じ音程の音を違う弦で弾くことで、一種の和音としての響きを狙ったのかもしれません。
最後の突然のハーモニクスもハッと驚かせてくれて面白い演出だと思います。
いっそのこと、あと1小節増やして15小節目は楽譜通りのㇻを弾いて、その次にハーモニクスで締めると言うのも良いかもしれません。
普通の曲でそんな事をすると作曲者が悲しむかもしれませんが、この曲は皆様の発想を拡げる目的で作った面もあるのでなんでもOKです。

無伴奏チェロ組曲第6番のプレリュードは8分の12拍子、4拍子系の曲だと伝わるように弾く事を目指して行きました。
また、同じ高さ、近い高さにありながら異なる声部として音が並ぶフレーズの弾きわけを追求して頂きました。
かなり難しい奏法ですが、ある程度そのように弾けていると思います。
後半速いパッセージが有り、それが弾けるテンポを全体でも統一したのでまだテンポが少し遅めですが、これからその辺りを追求していく予定です。
104小節と長く、難しい曲で弾くだけでも大変だったと思います。
お疲れさまでした。


No.8:Fさん
課題曲

※次のカルカッシのエチュードと無伴奏チェロ組曲第1番のプレリュードですが、どうも所々マイクレベルが変わっているのか音を正しい大きさで拾い切れていない箇所があるようです。
録画、録音機材の仕方ない問題ですので、恐れ入りますが皆様聞く時になんとなく補完して頂ければと思います。

25のエチュード第20番 Op.60-20 /M.カルカッシ

無伴奏チェロ組曲第1番プレリュード/J.S.バッハ
課題曲は4ポジションを中心に弾いていますが、7-8小節目シ→ミで3弦4フレットから9フレットに移っているところは指は違えど、2番目にご紹介したOさんと同じです。
ヴィラ・ロボスのプレリュード第1番やL.ワルカーの小ロマンスの始めにも1オクターブ低いですが、5弦シ→5弦ミと同一弦での跳躍が出てきます。
同ポジションで弾くより、移動により跳躍の溜めと言いますか、音と音の間が作りやすく、微かで上品な経過音も音の跳躍の名残を感じさせてくれます。
表情のつけ方やビブラートも繊細に弾けています。

その後のエチュードとプレリュードもとても良く弾けていると思います。
カルカッシのエチュードはスラーを交えてのアルペジオの上行下降が中心で、それが滑らかにクレッシェンドデクレッシェンドし綺麗にまとめられています。
フォームや手の動きを見ても力みやストレスが見られず、音と共に動きも滑らかです。
プレリュードは6弦をレにチューニングするバージョンの編曲で弾いて頂きました。
ギター曲ではノーマルチューニングに続いてよくあるチューニングなので、そういった曲もこのあたりで経験して頂こうかな、と敢えて難しいバージョンとなっています。
貧乏性なものでついでにpの指(右手親指)で6弦と5弦を同時に弾く経験も積んでもらおうかと、途中そういった箇所も作っており、大変だったと思います。
pで2本の弦を同時に弾くと音量が大きすぎたり、上手く鳴らせなかったりするのですが、よくコントロールできています。
プレリュードは、このフレーズが先のこの音に向かっているということを聞いている方に明確に伝えるような演奏を目指しました。
16分音符がずっと並んでいる曲ですが、その中でこの音は強調するという音が混ざっています。
マイクの問題はありますが、多分それらは皆様に伝わると思います。
表現はほぼ整えてあるので、Fさんご自身が仰っていましたが、あとは少しずつテンポを少しずつ上げていくことが目標となります。

No.9:Kさん
課題曲

ラグリマ/F.タレガ
この課題曲は「曲の特徴を感じ、そのイメージに副った演奏を追求することを目指す」という目的で設けました。
この方は現在小学5年生の息子さんと一緒にレッスンされているのですが、ある時息子さんから「課題曲について質問です。和音や、ハーモニクスは入れていいですか?」とメールで質問頂きました。
私は「和音やハーモニクスを入れたほうが良いと思ったら入れる、そうでない方が良いと思ったら入れない、全てお任せします。正解は自分の中にあります。」となんだか格好つけたような返信をしました。
その後レッスンでその後どうなったか意図して話さなかったのですが、どうやらお母様も和音をつけてくださったようです。

ご参加のほとんどの方は楽譜通りに単旋律で弾いてその中で自分の演奏を追求していらっしゃいますが、和音をつけるのも有りです。
コンクール等では無しです。いや、うーん…自己責任でお願いします。
和音を付けた結果、雰囲気が変わり、それに相応しく演奏しようと工夫して弾いて下さったら課題曲の目的に合います。
そもそも課題は最初「今まで習った事を活かし、自分でもっとも美しいと思う演奏を目指しましょう」という曖昧なふわっとしたものでしたし。

私はシンプルにイ短調の曲として作ったのですが、どうもお母様のつけてくださった低音を聞くと、イ短調→ハ長調(平行調へ転調)→イ短調→イ長調(同主調へ転調)のような流れになっているような気がします。
間違っていたら申し訳ございません。
うちの教室のスケール譜は各音階の平行調や同主調が書かれていて、去年からこのスケール譜まで進んだ人にはそういった事も勉強してもらっています。
弾いている曲の中で転調があったらそれを把握し、新しい調に合った表情を作っていくためです。
それがこういう和音付けに繋がったのだとしたら、面白いですね。

面白かったのでお母様の演奏の楽譜を作ってみました。()内は私が想定していたコード名です。
8小節目が自信がないのですが、どうもG13thでそれだとCに続くことが自然かなあ…と
8小節目に残っているソはただ開放を消音していない可能性もあり、どうなのかなあ…と考えていたら1時間くらい経っていて、現在通常のレッスン業務と、この発表会のコメントや動画の編集やアップロード、確定申告を並行して行っているので「間に合わないかも…これはいけない!」と、とりあえず保留にしました。
他にも今回参加はされませんでしたが、課題曲に和音を付けたりアレンジしてくださった方がいらっしゃいました。
ご許可頂けたら私がそれを弾いてご紹介できるかもしれません。

さて、長くなってしまいましたがコメントに移ります。
課題曲は付けてくださった和音により、私がイメージしていたものと雰囲気が少し変わりました。
冬の寒い曇りの日夕方4時の寒さの増す頃、葉の落ちた木を見ながらとぼとぼ歩くみたいなイメージでしたが、Kさんの演奏は自然に囲まれた地方の教会での敬虔な祈りのようなものを感じます。
最後の和音がイ長調の主和音の第1展開形で、不完全終止で余韻の残る終わり方をしているのも面白いです。

ラグリマはうちの教室でアゴーギク(緩急法)とそれに関連付けてのデュナーミク(強弱法)を勉強して頂く曲です。
今回ある程度譜読みが出来たら、こちらの記事に掲載している動画に合わせて弾いて頂きました。
楽譜はこちらです。
「はいこれがアゴーギクのルールです。自分で曲の速さを自由に変えて弾いてみましょう」と言われてもいきなりは難しいと思います。
なんとなくやっても上手くいきません。
そこでそれをまずは体感として覚えて頂くための練習として、動画に合わせることをして頂きました。
更に1か所で良いので自分で楽譜とは違う表現をするという、無理やり守破離の破を行う練習もありますが、まだそれは行っていません。

23~24小節の多声的な終止やバスの収め方、音色の変化、歌い方など丁寧に弾いていらっしゃいます。
これから先は全体で緩急をもう少し大げさに行って頂きます。
その後、ご自身でここは表現を変えてこう弾く、など考え、実践していく予定です。
この練習を始めて十分な時間はとれていませんが、よくここまで仕上がけられたと思います。


【高校生以下の部】
高校生以下の部と言っても小中学生しか参加していないのですが、今後のために一応そういう区分にしておきます。
高校生は2人いるのですが、受験やレッスン期間がまだ短いため今回は見送る事となりました。

No.1:I君(2022年3月現在小学3年生)
課題曲

マリア・ルイサ/J.S.サグレラス

ノクターン/C.ヘンツェ
課題曲を弾いてみて「Q1.どう弾きたいか」「Q2.どんな感じがするか」質問した所、
A1.音が切れないよう繋げて弾きたい
A.2悲しい感じ
と答えてくれたのでそのあたりを自分で頑張って工夫してみよう!と伝えました。
まだ小学3年生なので、この子ともう一人の小学3年生の子には少しアドバイスしましたが、基本的には自分一人で仕上げてくれました。
まだ粗削りですが、曲を盛り上げ、最後は目標の悲しい感じで静かに終わると言うのを表現しようとしているのが良く伝わってきました。

マリア・ルイサは結構速く弾けていたのですが、そうするとメロディーと伴奏の弾き分けが出来なくなったり、全体の表現が乏しくなってしまいました。
そこでテンポを落としてもらい、その分楽譜に書いてある強弱やフレーズの終わりを意識的に弾くことを目指しました。
ある程度ちゃんと終止感も出ていると思います。
この子は曲の雰囲気を把握する能力が育ってきて、マリア・ルイサのイ短調部分は悲しい、ハ長調部分は楽しい感じと何となくわかったようです。

ノクターンも最初の8小節は明るい感じ、次のイ短調の8小節は綺麗で悲しい、次の低音がメロディーの8小節は怒っているいる感じ、ハ長調に戻って幸せな感じ、最後の2小節は「友達と遊んでいてあと5分で帰らなくちゃいけない感じ」と終わってしまう名残り惜しさを自分の言葉で教えてくれました。
まだ旋律を繋げられていないところもありますが、それはこれからまた練習して直していけると思います。
今回は曲の雰囲気を出そうと自分で考え、一生懸命強弱を付けたり速さを変えたりしてくれた事がとても嬉しいです。
惜しむらくは、ビブラートの練習を既にしていて、どんな所で使うと効果的かも覚えているのに使っていない点ですね。
マリア・ルイサとノクターンではここでやろうと伝えて練習もしましたが、忘れてしまったようです。
左ひじを開き、後ろに引いており、左手親指が上に来ているのが見えますが、このフォームだとビブラートがやりにくいので仕方ないかもしれません。
フォームは既に2回直そうとして直ったのですが、また再発してしまいました(>_<)
何か良い方法を探してみます。

No.2:K君(2022年3月現在小学3年生)
課題曲

ノクターン/C.ヘンツェ
課題曲でビブラートをしっかりかけてくれています。
「ここでビブラートをしよう」と指定したわけではなく、ビブラートのやり方とその使いどころをいくつかお伝えし、弾いている曲で使えそうだったら使ってみよう!と提案しただけだったので嬉しいですね。
この子にも「どういう感じで弾きたい?」と質問した所「開放で弾いた後、次の音を弾く時に前の音が鳴らないようにしたい」と答えてくれました。
前の音が残って、響きが濁らないようにということを考えてくれたようです。
実際に14小節2拍目のㇻを弾く時に前の音2弦開放のシを消しています。
素晴らしい工夫です。

ノクターンは全体にしっとりと、高音がメロディーの所と低音がメロディーの所をそれぞれ意識して弾いてくれています。
また、フレージングもなんとなくですが 「ここで終わるから終わる感じで弾こう」という意識が見られます。
最後2小節もこの曲の終わりに相応しく、他の部分より遅く弱めで弾いています。(最後の和音はちょっと強いけど)
前のI君もそうですが、ノクターンは敢えて発想記号の無い楽譜だけを使ってレッスンしていました。
曲の感じを掴んでそれに相応しい演奏を作る練習がこの年齢からできるかもしれない、という目論見です。
本来は最後の2小節にmorendo(だんだん遅く、だんだん弱く)という記号があるのですが、それをこの2人は知りません。
しかし、2人ともなんとなく「最後の2小節は今までと違うぞ」と感じてくれたようです。
そうした感性を鍛える訓練はどうすれば良いのだろう?と色々考えて迷いながら進めてきたので一歩前進できて良かったです。
この子は次の曲としてカルカッシの25のエチュード第1番を練習しています。
速くて活発な曲が好きらしいので、かっこよく弾けるようまた頑張りましょう。

No.3:K君(2022年3月現在小学5年生)
課題曲

もののけ姫/久石譲

ラグリマ/F.タレガ
この子は課題曲に和音を付けてくれた【大人の部】9番目のKさんの息子さんです。
和音やハーモニクスを付けて良いか質問してくれ、実際に後半に低音をつけてくれました。
お母様と違う音を使い、自分が感じた雰囲気を表現しようとしているのが見て取れます。
この子は付けた音から察するにイ短調として弾いているようです。
まさに感じ方は人それぞれと言うのがよくわかります。
8小節目一度硬い音を弾くために下駒側で弾き、最後に向けて音色を戻すなどの工夫も見られて良いですね。

もののけ姫は市販のジブリ曲集のものを弾いています。
かなり曲の雰囲気を作る練習をしました。
運指もそれなりに難しいと思いますが、雰囲気をしっかりと出し、メロディーと伴奏の弾きわけ、伴奏でも強弱の表現をつける、pで速いアルペジオをする時の角度や綺麗な音を出すための動き、レッスンで学んだことがよく活かせています。
この曲は最初のハーモニクス、和音、メインとなる歌の部分、間奏、後奏と雰囲気がその都度変わるので各場面でどういうイメージを持っているか聞き、それを実現するためにどう弾けば良いか提示していきました。
厳しい課題も出ましたが、挫けることなく克服し、実現できたのが素晴らしいです。

ラグリマはお母様より遅く始めたため、私の演奏に合わせる練習はほぼやっていません。
が、ある程度速さを変える事が出来ています。
お母様と一緒の時間にレッスンをしているので、レッスン時や家でのお母様の演奏を聞いてある程度覚えたのだと思います。
何故か後半のホ短調はお母様より良く弾けている気がします。
18小節目3度の進行や19、20小節の1拍目表で収め、裏で新たに始まる弾き方は特に上手く弾けています。
前半も良く弾けていますが、2小節目から3小節目に移るとき、4小節目から5小節目に移るときに間が空きすぎて流れが止まってしまっているかもしれません。
恐らく2,4小節の終わりは「もっと大げさにリタルダンドをかける」「遅くするから速くするのルールでその前の加速ももう少し大げさに」でバランスがとれると思います。
「音が伸びすぎて間が空いている」「ゆっくりで音は伸びているけど止まらず動いている」この違いの出し方が難しいので次回はその練習をしましょう。
もちろん2小節で収め、また2小節で収め、という弾き方が好みならそれで良いのですが、今回は速さの変化とそれに伴う曲の聞こえ方をメインに学ぶ事が目的なため、表現の限定をさせて頂きます。
次に11月のある日を弾きたいそうなので、ラグリマは続けつつ今年の11月までに弾けるよう頑張りましょう!

No.4:S君(2022年3月現在中学1年生)
課題曲

11月のある日/L.ブローウェル

カヴァティーナ/S.マイヤーズ
ご希望により、お顔にうちのネコの写真を貼っています。
編集技術が無く、完全に隠れていなくて申し訳ございません。
課題曲は太い音を求めてハイポジションで弾いているのだと思います。
8小節目で4弦14フレットのミを使っているのにも拘りを感じます。
ギターによってはチューニングをしっかり合わせても、このあたりのフレットは音程がずれたりするのですが、彼のギターは最近お祖父様から受け継ぎメンテナンスもしてあるので大丈夫です。
演奏を聞いて、ビブラートが上手くなったなあと実感しました。

11月のある日は半年くらい前にある程度完成して、あとは少しの時間で微調整してきました。
冒頭8小節の有名なアルペジオ部はメロディー、低音、内声全てコントロール出来ていると思います。
ラグリマでアゴーギクをしっかり学んだので、細部まで速さの変化が自然になっていると思います。
ここをこう弾きたいというだけでなく、実際にそのためのアイディアまで考えられるようになってきて、毎回レッスンが楽しみです。
最近ショートスケールのギターから、今のノーマルサイズのギターに変えたので、これから弾きこんで慣れていけば、サイズに合うフォームや音の鳴らし方が掴め、更に演奏が良くなると思います。
可能だったらこの曲の練習を続け、またいつかさらに進化した演奏を聞かせて欲しいです。

カヴァティーナは昨年7月終わりに楽譜を渡して8月から練習を開始しました。
前奏と繰り返し部を作りたいという事でそれ用の楽譜を作成したため、通常の流れと少し構成が異なります。
この曲は美しい伸びやかな旋律とアルペジオの伴奏が中心となっています。
まずはアルペジオに表情をつける事をしました。
基本上行クレッシェンド下降デクレッシェンド、35小節の手前はそれをしつつもそこに向けて徐々に膨らんでいく。
他には37小節から始まる音階は、40小節目の1拍目に向かっているようにどうすれば聞いている人に伝わるか、クレッシェンドするにしても3小節に渡っての長いクレッシェンドはMAXを早く迎えてしまうのでどこで最も大きい山を作るか、そんな事を話し合いました。
39小節目そのために5弦開放ラにしたのですが、6弦ラに拘って若干流れが淀んでいるのが惜しいです。
が、拘りがあるなら今の運指でいつか上手くいくと思います。
全体ではメロディーも伴奏もしっかり綺麗に歌えていています。
場面転換でホ長調の主和音の上行アルペジオが何回か使われるのですが、その弾き方が新しく始まる旋律に吸い込まれるようでここは特に良いと感じました。
まだ完ぺきではないので、引き続きこの曲を続けつつ、次はファンタジーニ短調編/S.L.ヴァイスを提案していますが、他に弾きたい曲があったらそちらでも良いかと思います。

【終わりに】
以上で第2回ネットで発表会♪にご参加の皆様の動画紹介を終わります。
まずタイトルがダサくてすみません。
私はネーミングセンスが壊滅的で、よく独自の練習を編み出して名前をつけるのですが、それにも変な名前を付けて毎回後で後悔しています。

全体で皆様とても良く弾けていたと思います。
そのための努力も感じました。
今回のテーマは「自分が演奏する曲の魅力を感じ、それを聞いてくれる人に伝えるために工夫して演奏する」でした。
私のこの1年のレッスンのテーマと言っても良いかもしれません。
昔からそれは目指していましたが、一部の上級者やコンクールに出るような方にしか上手く伝えられませんでした。
それを生徒の皆様全員に伝えるにはどうしたら良いか、という事を目標にしてきましたが、とても難しく悩みの尽きない1年でした。

しかし、今回の発表会を迎え、目標をかなり実現できてきている事が実感できました。
皆様の努力のお陰です。
本当にありがとうございました。

今年10月15日(土)にはさいたま市文化センター小ホールでの発表会も予定しております。
新型コロナ・ウィルスの感染状況によってはまた延期する事もあるかもしれませんが、ぜひ次は舞台で皆様の演奏を聞きたいと考えております。

不甲斐ない講師ですが、より一層努力してまいりますので、今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。
市川亮平